サクリ過去小説1

 ―1度目に目覚めた時は、不思議なものがたくさんある明るい部屋にいた―

 

 

書類や造られたもので溢れている部屋で、マルスによく似た白いファイターが生まれた。
 

顔も姿も全く同じ、ただ目と肌の色以外色を抜いたように白いので白マルスの方が合ってるか。

 

 

 

彼の目の前には白い長髪の男、マスターハンドがいて、

 

 

 

「わぁ、私とおそろいだー!」
 

 

 

と言って笑っていた。

 

 

 

「・・・?」
 

 

 

白マルスはどうしていいか分からず、首をかしげた。
 

 

 

彼にあったのは断片的なマルスの記憶だけで、何故かそれは自分のものではないと分かっていたが
 

造られたばかりで自分が何なのかも分からず、それが余計に混乱させた。

 

 そんな白マルスを見たマスターは、不思議そうに目を丸くし、頭を少し掻きながら言った。
 

「えーと、私はマスターハンド。キミの制作者だ。」

「・・・はい。それは存じています。」
 

白マルスがはにかみながら答えた。

 マスターはなおも意外そうな顔をし、「私また何かうっかりしちゃったのかな?」などと呟き
 

それが白マルスを不安にさせる。

 

「・・・マスター、私は貴方から見ておかしいのでしょうか?」

 

ふいに尋ねられたマスターは、「そうじゃないよ」という言葉を飲み込み、子供っぽく笑うと

 

 

 

 

「んー・・・、大体の子は動き出してから最初に笑顔で『お帰りなさいませ、ご主人様☆』って言うよ。」

 

 


 

 

もちろん大ウソである。

 

 

 

 

しかし、白マルスは数秒考えた後・・・

 

 

 

 

やった。
 

ためらいもなく。
 

精一杯にっこりと微笑んで。

 

まさかこの流れでやるとは思ってなかったマスターは、爆笑しかかるのを必死にこらえて床に伏し
 

白マルスが心配そうに声をかけると、「・・・うん・・・普通普通・・・」とだけ言い、
 

しばらく腹を押さえたまま動かなかった。

 

 


                               *

 

 


数分経ってマスターが復活した後、白マルスは辺りのものを眺めてうろうろしていた。

 

指の先程度の檻、ビンに入った土から覗くオレンジの茎とその先の白い蕾、
 

机の上を照らす光を放つ玉、エトセトラ・・・

 

 

床の書類に足をとられながら見るそれらは、何一つマルスの記憶に無く
 

それが彼には何故か嬉しかった。

 

おそらく、マルスの記憶でしか世界を知らず この人格も記憶によって形成された自分が
 

マルスと違う体験をしてるということが嬉しいのだと自己解釈していると、ふいにマスターから声がかかった。


「あー・・・そういえばキミの事はなんて呼んだらいいかな?白マルス?」

 

「・・・はい。マスターがいいのならそれで。」

 

笑って答えたつもりだったが、実際は少し戸惑っていたのかもしれない。
 

視界にチラチラと入る自分の白い髪を少し触っていると、

 

「あっ、冗談冗談!ちょっと待ってね、今ちゃんとした名前考えるから!」
 

そう言いマスターが思案しているところだった。

 


マスターが考えてる間、白マルスは再び部屋の中を歩く。

 

 

すると、遠くの棚の上にまた不思議なものを発見し、それに気をとられて足下の物に気づかず
 

つまづいて転んでしまった。
 

バターンという音と共に、足下の書類が宙を舞う。

 

「わっ・・・ええと・・・あの、すみません・・・・・」

「気をつけてねー。」

 

謝った後つまづいた物を見ると、それはどうやら本のようだった。
 

「・・・?」

「それはアルバムだよー。」
 

と質問する前にマスターが答え、そのまま机の影に消えた。

 

白マルスは礼を言い、「アルバム」を手にとって開くと 床に溢れてる書類と同じような紙が綴ってあった。
 

しばらくパラパラめくっていると、やがて不思議な紙を見つけた。

 

「わぁ・・・」
 

それは景色、時間を切り取って貼り付けたように鮮明で鮮やかな紙だった。
 

しかし白マルスが思わず溜息を漏らしたのは鮮明さや鮮やかさではなく、そこに写ってるものである。

 

「あのっ、マスター・・・」

 

この紙の事を質問しようと顔を上げた瞬間、頬に違和感が走った。

 

だがそれより、マスターが謎の構えをして中央に丸いガラスの入った箱をこちらに向けてるのに驚いた。
 

そのままカシャリと音がし、箱の下から真っ黒い紙が出てきたところでマスターは箱を降ろした。

 

「・・・・・それは、何ですか?」
 

おそるおそる近づきながら尋ねると、

 

「カメラだよ。キミがあまりに羨ましそうに写真を見てたから撮ろうと思って。」
 

と答えた。

 

「写真とは・・・これの事ですか?」
 

アルバムを差し出すと、「うん。そうそう。」と返ってきたので箱から出てきた黒い紙を見つめる。

すると少しずつ色が付いていき、きょとんとした自分らしき人物が写った。
 

白い髪にマルスに似た碧い瞳、白に近い肌の色・・・そしてさっき違和感を感じた頬には・・・

 

 


細くヒビが入っていた。

 


 

だが頬を指でなぞっても特になんともなかったので再び写真に目を落とし、アルバムのものと見比べる。

 

しかし、当然ながら二つの写真は全く違い、自分が写っていても嬉しくはなかった。

 

「マスター、私がアルバムの写真を羨ましく思ったのは その技術ではなく・・・―」

 

 

しかし言葉は最後まで言えなかった。
 

 

 

「痛・・・・・・っ・・・」

 

 

突然頬の違和感が痛みに変わり、思わず手を頬に当てる。


「どうしたの!?」

 

「だ、大丈夫です・・・」
 

驚いたマスターに心配をかけまいと頬から手を離した瞬間

 

 

マスターの表情が強ばった。
 

「・・・?・・・マスター?」

 

痛みをこらえた問いかけに答えることなく、突如マスターは白マルスを突き飛ばした。

 

 

 

 

 

・・・否、フィギュアに戻したのである。

 

 

 

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間違えてクリックしてしまった方、どうもすみません。

そのまま書くとかっなーりテンポが良すぎるので離して文字を置いてみました。

サクリ過去小説前半です。

ついでにマルスの記憶からできた性格なのに一人称が「私」なのは、マンガのマルスの一人称が「私」だからです((

・・・10年くらい前の。

 

意味わかんねーよって所は質問してくださると嬉しいです。